>塗装後のコーティングで色流れして困っている場合
塗装の原理、色流れの原因を知っておくことで
失敗を少なくすることができます

塗装の原理

塗装の原理は、一言で言うと接着剤と同じだ。

塗料が塗装面にくっつくのが塗装なのだ。

塗料と塗装面 の材質の相性がいいとき、きれいに塗装ができる。

ルアー作りにおける塗装では、ラッカー性塗料とセルロースは相性がいいのだ。
ラッカー性塗料とウレタンの相性は少し悪い。

相性がいいと塗料は落ちにくくなる。
塗料がコーティング剤に少し溶け込んでくっつくといってもいい。
その極端な例が接着剤だ。

試しにセルロースの上に塗料を塗ったものと、
ウレタンの上に塗料を塗ったものを用意する。
これにセロハンテープを貼って、ゆっくりと剥がす。

セルロース上の塗料は少ししか剥がれないが、
ウレタン上の塗料はほとんど剥がれるはずだ。

これが分かると色流れの原理もなんとなく理解できると思う。

色流れの原因

コーティング剤へのドブ浸け時に、
塗料がコーティング剤と一緒に流れて
せっかくの塗装がダメになるのが色流れだ。

塗装が厚塗りだと
いくら塗装面と相性がよくても、
塗ったすべての塗料が塗装面とくっつかない。
そのためくっつかなかった塗料がドブ漬けで剥がれる
これが原理だ。

またややこしいことに
塗装前と後のコーティング剤が同じだと、
塗装後ドブ漬けの時に
塗装前のコーティング膜を
少し溶かしてしまうことがある。

そのため塗装前後で
コーティング剤を替える
というテクニックが出てくるのだ。

では、ドブ浸けではなく
エアーブラシでコーティング剤を吹き付ける場合、
なぜ色流れしにくいのでだろうか?

それは色流れする前にコーティング剤が固まり始めるため。

コーティング剤が動かなければ
塗料も動かないというわけだ。

それでは塗装前にウレタン、
塗装後にセルロースにドブ浸けすると
どうなるだろうか?

塗装とコーティング剤の相性を比べれば答えは簡単だ。
見事に色流れしてしまう。

また塗装後にクリアー塗料を塗装してから
コーティングする方法はどういう原理だろう?

これはコーティング剤がクリアー塗料を溶かすだけで
その下の塗装は溶かさないようにしているというものだ。
色流れはしているが、
その色が透明なため見た目ではわからないのだ。

次に塗装前にセルロース、
塗装後にウレタンという方法を
繰り返して作ったルアーについて考えてみよう。

この方法で3回塗装をしたとする。
原理を考えれば
セルロース膜と塗装膜はくっつき1つの膜になるが、
塗装膜とウレタン膜はくっつかないため別々の膜になる。

するとこの場合、

  • セルロース・塗装膜
  • ウレタン膜
  • セルロース・塗装膜
  • ウレタン膜
  • セルロース・塗装膜
  • ウレタン膜

の合計6層の膜ができるのだ。

層が多いと、ルアーがぶつかったときに
層と層との間に隙間がうまれることがある。
見た目はコーティング膜の内側に空気が入ったような感じになる。
これが剥離(はくり)だ。

あちこちにぶつけるルアーにはむかない。

どんなルアーを作るかによって塗装コーティング方法を変えた方がいいのだ。