スピナーベイトの作り方を紹介しています。
ボディが金属でできているため、他のルアーとは作り方がかなり違います。
シンプルな構造をしているが結構奥が深い。
他のルアーと比べて簡単に作れる
ヘッド部分の作成
アーム(ワイヤー)の加工
ブレード・スカートの取り付け
これだけだ。
しかも釣れる効果は市販品に引けをとらない。
また、安くしかも簡単に量産できる。
短所は演技させるおもしろみが欠ける点だろうか。
またスイムテストをしながら簡単に修正できるので
短期間で完成度も高くなる。
スピナーベイトの作り方
目次
-
フックとワイヤーをつなげる
図が見本。
まがるのに必要な長さを考えて、
プライヤー(ラジオペンチ)で丸く曲げることで
アイの部分を作り、
フックを通し、
再びプライヤーでアイの部分を閉じて、
ワイヤーからフックが外れないようする。 -
ヘッドを作る
ヘッドの材質には鉛を使う。
この鉛を加工する方法は3つある。かなづちで鉛の形を加工する方法、
鋳型を作り鉛を流し込む方法、
既製の鋳型に鉛を流し込む方法だ。-
かなづちを使う方法
最も簡単にできる方法だが、
鉛を使うので吸い込まないように注意して作業すること。また、かなづちを使うとき大きな音がするので、
使う時間と場所は選ぶこと。- ナツメオモリを左手で持つか
または万力を机に設置してオモリをはさんで固定し、
オモリのどちらか片方の穴を
キリやドリルで削り、大きくする。
下に紙を敷いておくと鉛の粉が散らない。 - ヒートンをプライヤー
(無ければテープを巻いたペンチ)
を使って約80度に曲げる。
ヒートンのアイの部分は閉じておく。 - ワイヤーにナツメオモリを通し、
フックにヒートンを通す。
オモリはヒートン側が1で加工した穴となる。 - 図を参考にして、
ワイヤーとフックのつなぎ目が
ちょうどオモリの穴の真ん中に来るように、
オモリをワイヤーとフックにかぶせ、
ヒートンを穴に入れる。
ヒートンのアイは上を向いた状態にする。
硬くて丈夫な台になるものにオモリをおき、
オモリの両側面をかなづちで叩き、平らにする。そしてヒートン部分に鉛がかぶさるように、
かなづちで加工し、
図のような形にする。
そして紙ヤスリで
表面を滑らかにする。
- ナツメオモリを左手で持つか
-
鋳型を作り鉛を流し込む方法
一番面倒な方法だが、
この方法を使えば市販品そっくりにできるし、
ヘッドの形を自由に作れる。
それに一度鋳型を作ってしまえば、量産は簡単。
油粘土とワイヤー、フックを使って
ヘッドの原型を作る。
油粘土は小学生の時に使用したことのあるあぶら粘土だ。* 油粘土が無ければプラスチック粘土でも構わない。
- きりがね(とても薄い金属の板)を
図のような形に切る。ヘッド部分は少し小さめの形に切り抜く。
これにはカッターとハサミを使う。* きりがねが用意できなければ、
薄くて丈夫なもので代用する。例えば書類などを入れておくプラスチックのクリヤーファイルでも構わない。
- ヘッドの原型をきりがねにはめこみ、
セロハンテープで固定する。きりがねは
ちょうどワイヤーとフックを結ぶ直線上
にくるようにする。きりがねのヘッド部分は小さめに切ってあるので、
きりがねがヘッドの粘土にささる形になる。
そしてヘッドの形を修正する。 - 次に板と粘土、3で作ったものを使って
図のようなものを作る。
両側が板で、
真ん中にはさまっているのが3で作ったものだ。そして粘土で
左右と奥の3辺を囲む。
きりがねがゆがまないように注意すること。図のようににはいかないと思うが、
なるべくきれいに作る。 - 石膏に適量の水を加え、どろどろにする。
そしてそれを流し込む。石膏は1度水を加えると元に戻せないので、
多すぎてあまってしまうことがないように調整する。右図のように石膏を満たしたら、
時間を置いて硬化するのを待つ。半日以上経って
完全に硬化したのを確認したら、
板と粘土をはずす。硬化した石膏は
落とすと割れてしまうので注意すること。
そして、
石膏を両手で慎重に2つに離す。このとき十分硬化していないと、
最初からやり直しとなるので焦らないように。
これで石膏の鋳型がだいたい完成した。
後は彫刻刀やナイフなどを使って
左図のように加工する。
フックのあった部分は図のように平らにする。そして鉛を流し込む穴と
空気の逃げる穴を作る。石膏は欠けやすいので慎重に削る。
最後に
両方の鋳型が正対象になるように
バランスをみながら形を整える。
そして紙ヤスリでなめらかにする。- ワイヤーにフックをつないだものを鋳型にはさみ、
図のようにガムテープまたは輪ゴムなどで固定する。
次に金属の入れ物を用意する。
これは
水ようかんやゼリーなどが入っている入れ物で構わない。これに鉛を入れる。
鉛であればなんでも結構。
そしてガス台の火で熱する。
ガス台に直に置くのは危険なので、
焼き魚用の網をガス代に置き
その上に入れ物をおく。鉛はすぐに溶けて液状になる。
ペンチで入れ物をつかみ、
鋳型に鉛を流し込む。鉛はすぐ冷えて固まるが、
流し込む速度は
遅すぎても速すぎてもきれいに固まらない。何度でもやり直しができるので、
何回か試してみてコツをつかんでほしい。やけどしないように注意すること。
また、鉛を加熱中は
絶対に蒸気をすいこまないようにする。蒸気には鉛が含まれており危険だ。
鋳型を外し、
できたヘッドを取り出す。ニッパーやナイフを使って
余分な部分を削り取る。
修正がきかないので、
削りすぎに注意すること。表面を薄く削るにはカッターナイフを使う。
そして紙ヤスリで表面をなめらかに整える。
市販品とそっくりのものをつくるには
粘土の代わりに直接ルアーを使い、
石膏の鋳型を作る。今回はヘッドの上部に、
鉛を流し込む穴と空気を逃す穴を作ったが、
鉛の流し込みが上達すれば、
鉛を流し込む穴のみを
ヘッドの前部(ワイヤーの付け根部分)に
作った鋳型でも対応できる。またこの鋳型であれば、
ワイヤーをアームの形に加工してからでも鋳型に挟める。ちなみにこの鋳型は
次に説明する市販の鋳型(モールド)と同じタイプとなる。
-
既製の鋳型に鉛を流し込む方法
市販の鋳型(モールド)を使い、ヘッドを作る方法だ。鋳型はジグ用とスピナーベイト用がある。
ジグ用は、スピナーベイトに使えるように改造して使う。
これはアーキータイプのジグヘッド用モールドを加工したものだ。
ワイヤー(アーム)用の溝を2つ作り、
ワイヤーをアームの形に加工してから
ヘッドの作成ができるようになっている。このほうがワイヤーのぐらつきが少ないため
失敗することが少なくなるのだ。穴に鉛を流し込み、
ニッパー・ナイフ・紙ヤスリで
形を整えればヘッドは完成だ。欠点は
モールドが高いこと(4000円ぐらいする。)、
ヘッドの形が決まっていることだろう。
-
-
アームの形に加工する
図のようにラウンドノーズプライヤー
(無ければペンチにテープを巻いたもの)で
アームの形に加工する。図はアイの部分を作っている様子。
アッパーアームとロアアームの角度は約80度。
アッパーアームの先端は
この時点ではまだまっすぐのままにしておく。ロアアームとヘッドの角度は少し曲げて
約40度に調整する。ただしこれらの角度は最後のスイムテストで修正する。
* ”2のヘッドの作成”が先か
”3のアームの作成”が先かは、
ヘッドの作成方法により違う。
* ラウンドノーズプライヤーは
ペンチのはさむ部分が丸くなっており、
ワイヤーを傷つけずに曲げられるようになっているものだ。 -
ヘッドのコーティングと塗装
ヘッドが鉛むきだしのままでもいいのだが、
コーティングと塗装を行えばより完成度が高くなる。
ヘッドのぐらつきを抑える役割もある。方法は他のルアーのときと同じだ。
ペンシルベイトのように塗料でペイントするか、
ミノーのようにアルミ箔を貼るかどちらでもいい。鉛は木と違い水が染み込まないので、
下地作りの「コーティング液へのドブ漬け」は
3回も行えば十分。詳しくは塗装のコーナーを参考にしてほしい。
-
パーツの取り付け
金属ビーズやクレビス、
スイベル、ブレードの取り付けを行い、
アッパーアームの先を加工してまるく閉じれば完成だ。もちろんシングルブレードタイプをつくるのであれば、
金属ビーズやクレビスは必要ない。最後にスカートを取り付ける。
スカートはジグ用と同じもの。取り付けは輪ゴムか、糸または細い針金を使う。
スカートの長さ、数を調節してほしい。 -
スイムテストと調節
実際にスピナーベイトを泳がせてスイムテストを行う。
ヘッドがぶれていないか、
ブレードがちゃんと回るか
正しい体勢で泳ぐか
などだ。このバランスは
考えて成功するものではないので
何度もテストをして調整するしかない。
アームの加工は容易だから、
釣り場で調整することもできる。
納得のいく泳ぎをするようになったら完成だ。スピナーベイトの知識が
参考になると思うので一読しておくとよいだろう。
今回使ったもの
材料
- ワイヤー(ステンレス線かバネ鋼線で太さは0.8mm~1.0mmのもの)
- フック(ワーム用のストレートタイプのものでなるべく太くゲイブが広いもの)
- 鉛(ナツメオモリまたは鉛なら何でも可)
- スイベル(普通のよりもどしはよくありません)
- ブレード各種
- 金属ビーズ、クレビス(ダブルブレードにするとき)
- スカート(ジグ用もので可。シリコンラバー製が多い)
- ヒートン(必要に応じて使用する) 石膏(必要に応じて使用する)
- 粘土(油粘土かプラスチック粘土。必要に応じて使用する)
- きりがね(または代用できる薄くて丈夫なもの)
- コーティング剤
- 塗料やアルミ箔、目(必要に応じて使用する)
工具
- ラウンドノーズプライヤー
- ペンチ ニッパー
- かなづち、丈夫な台(必要に応じて使用する)
- キリやドリル(必要に応じて使用する)
- はさみ
- 切り出しナイフ・カッターナイフ 紙ヤスリ各種
- 金属製の入れ物
- モールド(市販の鋳型。必要に応じて使用する)
- ガス台(台所)
- コーティング・塗装用の工具