軽くて加工しやすい木の板で、ワイヤーとオモリをはさむ方法でルアーを作る方法を紹介しています。
ここではハンクル(HMKL)ミノーを参考にしたアルミを貼ったリアルミノーを作成していますが
ペンシベイトやクランクベイトも作ることができます。
完成するには、早くて丸5日長ければ10日以上かかります。
気長にじっくりと、丁寧に作業するのが
完成度の高いミノーを作るコツです
アルミを貼ったミノーの作り方
目次
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設計図を書く
どんなリアルミノーを作りたいかをイメージし、
紙に具体的な図を描く。
横から見た図だけでなく、正面から見た図も描く。一般的にミノーの形状はスリムであり、
背から腹までの高さよりも、
正面から見た時の横幅の方が狭い。ボディの形はルアーの動きに影響する、
まだ形を決めていないのなら
ミノーの知識のページを読んでから考えてみてもいいだろう。実物大で描き、
- エラをどう表現するのか
- 目の大きさ(直径4mmや5mm)も正確に
- 腹部からテイル(尻尾)までの形
- リップをつける位置
- リップをボディに埋め込む深さ
- リップの角度と長さ
- 入れるウェイトの位置
- オモリを入れる穴の大きさ
などを正確に書く。
ミノーは、
ラインアイとフックアイはワイヤーで作り
ボディに埋めこむ(2枚の板ではさむ)構造なので下の図を参考に
- ワイヤーの形と、それをどう埋め込むのかも書く。
小さなミノーになるほど
ワイヤーとオモリの埋め込む位置は近づくため
(ワイヤーがオモリの中を通る場合もある)
よく考えて決めよう。
PCのソフトウェアで図を描けるのなら、
図の使い回し・色や模様を考える点で便利である。型紙を作る
次に厚紙に
ボディ部分の2種類の図のような型紙を作る。ただし作成した設計図よりも、少し細めに型紙をつくるといい。
これは型紙をペンでトレースする(輪郭をなぞる)ときと
コーティングの工程で
ルアーが太くなることを考えた対策だ。はさみかカッターで
切り取った型紙のオモリを埋め込む位置に穴を開け、
センターアイ(腹部のフックアイ)の部分に印をつける。初めて作る人は、市販品かこのページの図を参考にして型紙を作るといい。
特に対象魚が決まっていなければ、5cmから10cmの長さのものが良いだろう。
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材料・工具の用意
超初心者のために、
必要なものはこのページの最後に今回使ったものとして載せておいたので参考に。
木材にはバルサを使った。次の工程からいよいよルアー作りに入るのだが、
作り始める前に、「注意すること」のページに書いてある注意事項は必ず読んでほしい。ルアー作りで起きた失敗や怪我は作った人の責任である。
ここで出てくる工具や材料は
使い方次第で危険な物になることがある。
そういった事態にならないためにも読んでもらいたい。 -
バルサを切る
作った型紙をバルサの板にあて、ペンでなぞる。
切り出しを簡単にするために、
なるべく板の端に近いところに型を取る。カッターの刃先がこぼれていたら新しくする。
板の下に下敷きとなるもの(ゴム製の板や厚紙など)を置いてから、
カッターナイフで型よりも少し大きめに切っていく。
かなり力がいるので、ゆっくりと切る。切り出した後、紙やすりで端を削って型どおりの形と大きさに整える。
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オモリを入れる穴を掘る
彫刻刀(円刀)かリューターを使い穴を掘る。
入れるオモリは
円いガン玉タイプをペンチで少しつぶして
円筒形にして使う。割り箸(円筒形タイプ)やボールペンの尻などで
穴の形を整え、穴の底は平らにする。 -
ワイヤーでアイ・シャフトを作る
ワイヤー(針金)は、
ステンレス製などの錆びない材質で、
軟らかすぎないものを使う。
ピアノ線でもいい。
現在釣具屋でもルアー製作用に
ステンレスワイヤーが太さ3種類ほど販売されているので、
このうち直径0.9mmのものがいい。ワイヤーの長さは、目安として
ルアーの長さの約2倍のものを用意する。アイの丸みの部分は図のように、精密ドライバーにワイヤーを巻き付け、
根本をペンチで締めて作る。シャフトの形(ワイヤー)は作成した設計図のとおりに作る。
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接着剤でバルサ・シャフト・オモリを付ける
一度、図のようにシャフトとオモリをバルサで挟む。
(強く挟みすぎるとバルサがつぶれるので注意すること)
こうするとバルサにシャフトの跡がつく。その跡を、精密ドライバーや彫刻刀で少し彫り、溝を作る。
再度シャフト・オモリを挟む。
バルサとバルサの間に隙間がなくなったことを確認する。分解し、瞬間接着剤をバルサ・シャフト・オモリに付け
再びシャフトとオモリをバルサで挟む。かるく指でバルサを挟んでおけば、バルサ同士がよく接着する。
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頭と尾の部分を削る
前部と後部を削りテーパーをつける。
前部は全長の6分の1、
後部は全長の3分の1ぐらいから
テーパーをつける(段々細くする)とバランスがいいと思う。 -
断面が八角形になるように削る
図のように四つ角を削り八角形にする。
一度に深く削らず、少しずつ薄く削っていく。
テイル(最後部)は特に注意すること。左右対称になるよう、バランスを見ながら削っていく。
また、アイ部分(ワイヤー)を傷つけないように注意すること。
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ルアーの形に整える
紙ヤスリを使って、ルアーの形を滑らかにする。
手のひらより少し小さいぐらいの大きさに切った紙ヤスリ(200番台)を使って、
ルアー表面のだいたい凹凸をなくす。次に800番台の紙ヤスリを使い、表面を滑らかにする。
利き腕の手のひらに紙ヤスリをおき、
もう一方の手にルアーを持ち、
ルアーを紙ヤスリに擦りつける感じでヤスリがけを行う。または
手のひらに置いた紙ヤスリを
親指ではさんで固定し、
残りの指で
紙ヤスリを少しまるめた状態で、
表面をみがくように動かす。ヤスリがけは全体に行うので、
ヤスリがけと
ルアーをたまに少しだけ回転させることを
交互に行うといい。バルサは簡単に削れるので、
一ケ所だけ集中的に削らないようにする。 -
コーティングをする
この作業の前にあらかじめ、乾燥台を作っておく。
前部、後部から
セルロース1液へのドブ漬け・乾燥を
それぞれ3回以上行う。これはセルロースセメントを使った下地作りの方法で行う。
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ルアー表面 をなめらかにする
コーティングが終わったら、
紙ヤスリで表面をなめらかにする。ここで完全に凹凸を無くさないと
アルミ箔を貼る作業がきれいにできないので根気よくやろう。 -
アルミ箔にうろこ模様をつける
アルミ箔とはアルミホイルのこと。
料理用に売っているもので厚さ20ミクロンのものを使う。
手に入らなければ、一般に販売している15ミクロンを使う。アルミ箔には表裏があり、裏は表より光の反射がにぶいのが普通だ。
アルミ箔を切り取るときは、カッターを使う
カッターの刃は新しいものを使い、角度に注意すること。
刃こぼれしていると、アルミ箔をひっかいてシワができやすい。角材などに絹の布を巻いた物
もしくは市販のヘラ(柔らかい材質のもの)と、
片目ヤスリを使用して、うろこ模様をつける。ヤスリとアルミ箔の表面のゴミは
あらかじめ取っておく。アルミ箔の表を上にして、
図のようにヤスリの上を一定の力で2往復し、
ヤスリの跡を均一につける。次に裏を上にして同じように1往復する。
型紙とカッターを使って、
ルアーより一回り大きく切り抜く。
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ルアーにアルミ箔を貼る
これがミノーの製作工程の中で一番難しい作業だ
経験がすべてのため、最初のうちは失敗するかもしれない。失敗した場合はアルミ箔をはがし、
紙ヤスリでルアー表面を整え、
1回コーティング乾燥して再度挑戦しよう。まずルアーにアルミ箔を置き、
左手の親指と人差し指で軽く挟んで固定し、
右手の親指の腹で軽くアルミ箔をこすり、
ルアーのボディになじませる。このとき、指の表面が荒れているようであれば、
あらかじめ紙ヤスリでなめらかにしておく。アルミ箔がだいたいルアーの形になったら、
ゆっくりと形を崩さないようにルアーから外す。今度はルアー表面に
ラッカー薄め液を平筆で塗る。
つけすぎないように注意し、
左右どちらか片面のみ塗る。
こうすることでルアー表面が溶け、
接着力が出る。先程のアルミ箔を
慎重にルアーに載せる。右手の親指の腹で、
アルミ箔の中央から徐々に背や腹、
そして頭や尾の方向へと
アルミ箔を力をあまり加えずに
軽く伸ばして貼っていく。これが一番難しい
最初のうちは失敗の連続だと思う。*最初は必ずしわができるが、
このしわがボディ中央にできないように、
しわをアルミ箔の端へと伸ばしていく。強い力で伸ばそうとすると、
アルミ箔がルアーからずれたり、
コーティング剤が剥がれたり、
うろこ模様が潰れてしまう。アルミ箔がルアーより大きくはみ出した場合は、
カッターで余分な部分を切り取る。
(バルサとバルサを貼り合わせた継ぎ目に沿って切る)貼り終わったら、もう片側もアルミ箔を貼る。
両側のアルミ箔表面を傷つけないように注意すること。
背と腹の部分で
2つのアルミ箔がちょうどくっつくように
(背・腹のバルサが見えないように)
貼るのがベストだ。測線を付けたいとき
測線を付けるのであれば、
アルミ箔を貼り1時間立ってから
手芸、ガリ版で使うルレットを使用して測線を引く。 -
コーティングする
再びセルロース1液に、
前部からつけるのを2回
後部からつけるのを1回
してから乾燥させる。 -
頭部にアルミ箔を貼る
できれば厚さ20ミクロンのアルミ箔を用意する。
無ければ15ミクロンのものでも構わない。頭部用の型紙で、アルミ箔を2枚切り取る。
ルアー頭部を紙ヤスリを使って凹凸を無くす。
そして頭部用のアルミ箔を貼る。
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エラ、サインを書く
図のように
頭部用の型紙を、ルアー頭部にずらして当てて、
先端が尖っていない鉄筆などでエラを書く。そして自分のサインを書く(必要であれば)
あまり力を入れて書いてはいけない。
修正が効かないので慎重に、一定の力でおこなう。 -
コーティング、ルアー表面を滑らかにする
セルロース1液で頭部からのコーティング乾燥を1回行う。
そして背と腹の凹凸を紙ヤスリで無くし、滑らかにする。
再びセルロース1液で、後部から2回のコーティング乾燥を行う。
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塗装とコーティング
背と腹にシルバーで下色を塗る。
エアーブラシが最適だが、カラースプレーでも代用できる。乾燥させたら、
セルロース1液でのコーティング乾燥を行い、次に本塗りを行う。 -
リップを作る
材料としては
ポリカーボネート板がお勧めだが、
なければアクリル板やアルミ板、
ステンレス板でも代用できる。リップ(ポリカーボネイト)の加工については
折って切り出す場合には
市販の専用工具Pカッターを使う方法がある。厚さが2mm以内であれば、
裁ちハサミ(金属切断用ハサミ)を使うほうが簡単でお勧め。リューター(ルーター)や電動ドリルがあれば、
先端に直径3cmくらいの丸ノコのビットをつけて切ることが可能だ。
この場合、摩擦熱が発生して溶かしながら切断するため、簡単に切れる。
ただし、曲線切りは不向き。ノコギリを使う場合は、精密鋸が適している。
ピラニアソーは、曲線切りは苦手だが
切断面がきれいで、アルミの切断にも使えるのでお勧め。切ったら、ニッパーや爪切りや金ヤスリを使って形を整える。
リップの形状はいろいろあるが、図を参考にしても結構。溝の部分の加工は、鋸などで切れ目を入れてから
棒ヤスリで削るのが簡単。リップの材料の入手方法について
クリアーで手頃なサイズのポリカーボネートを
大手のホームセンターで見つけるのは意外と難しい。だいたいは
ハンドメイド関係を取り扱っている釣具店か、
東急ハンズ、または美術工芸用の画材店での取り寄せ注文となる。
インターネット通販での購入もできる -
目をつけ、コーティング
ペイントアイの方法をとるなら、
塗装のコーナー ペイントアイを参考にする。グラスアイを使う方法をとるなら、
ペンシルベイトの作り方 目を入れる穴を彫るを参考に。つけ終わったら、セルロース2液で
頭部と後部からのそれぞれ1回コーティング乾燥を行う。
これでルアーにツヤが出る -
リップを付ける
ルアーのリップを付ける位置を
カッターや彫刻刀、リューターを使って穴を彫る。リップを付ける角度は
ルアーに求める動きによって様々だが
ここでは約60度にしている。次に瞬間接着剤を穴の中につける。
これは防水処理だ。接着剤が乾燥したら、リップをはめる(仮付け)
そして浴槽でスイムテストを行う。
かたよった動きをする場合には、リップを外して、リップを少し削る
そして再びリップをつけてスイムテストを行う。
これを理想の泳ぎになるまで続けるリップを外し、穴の中に瞬間接着剤をつけ、
リップを差す。 -
最後に
リップの側面と付け根に、
セルロース1液を薄く塗り、防水処理をする。アイの部分にスプリットリングとフックを付ければ完成だ。
今回使ったもの
- バルサ板(厚さ5mm~9mmのもの):繊維の方向がどれも均一で節がないものがよい
- フック2個(ダブルフックまたはトリプルフック)
- スプリットリング(ダブルフック使用時は不要)
- ワイヤー(ステンレス製かピアノ線で、太さ0.9mm)
- アルミ箔(家庭用で厚さ15mmものと20mm)
- 鉛
- 目2個(ルアーの目となるものなら可。ペイントアイにするのなら不要)
- 塗料(下塗り用と本塗り用、缶スプレーでもいい)、廃液瓶
- 塗料うすめ液(ラッカーうすめ液またはシンナー)
- ノコギリ(刃がこまかいもの)か金属用はさみ
- カッターナイフ
- 紙ヤスリ(100番台、200番台、400番台)
- 片目ヤスリ(アルミ箔、リップ用に使用するが、プラスチック用ヤスリとして売っているものが手に入りやすい)
- ルレット(測線を付ける場合必要)
- 角材に絹の布をまいたもの、または市販のヘラ(ゴム製か樹脂製のもの)
- リューターまたは彫刻刀、ポンチ
- ペンチ、精密ドライバー、鉄筆
- ハケか平筆、瞬間接着剤
- エアーブラシまたは缶スプレー(塗装の方法により必要)
- 防毒マスク(塗料やうすめ液などの有機溶剤を多く使う場合必要)
- 乾燥台(自作)
- コーティング剤(セルロースセメント1液と2液)
- ポリカーボネート板かアクリル板(釣具屋で購入できる)